前屈ができない理由は何故?前屈ができるようになるストレッチやトレーニング方法をご紹介

体が硬い柔らかいを語るときに、指標としてよく用いられる前屈。どうしたらできるようになるのか知りたい人も多いと思います。この記事では前屈ができない原因や、起こりうる不調について、柔軟性を高めるストレッチ方法を解説しています。

後半では前屈ができない度合に合わせたエクササイズをご紹介しています。どれも一切器具を使わず簡単におこなえるので、ぜひ柔軟性をチェックしてから取り組んでみましょう。

目次

前屈ができないのは体が硬いからではなかった?


前屈ができないと体が硬いからと思ってしまうでしょう。しかし硬さだけが原因ではありません。過度に使われている筋肉と、使われない筋肉のアンバランスが前屈をできない理由に繋がるのです。

前屈ができる人は股関節から真っ二つに折れるイメージでヘアピンのように体を曲げているので地面に手がきます。できない人は骨盤が後ろに落ちて背中が丸まっているので、床まで遠回りをしています。体の形は数字の7のようです。これでは手は床につきません。

ハムストリングスが同じように使えていても、前屈ができない人は骨盤や上半身が使えないのです。体全体が硬いというよりも、硬い筋肉と柔軟性のある筋肉がアンバランスであるために前屈ができないというわけです。

前屈ができない人は腰痛になりやすい?

前屈ができない人は体がアンバランスな筋肉の使い方をしがちなため、腰痛や肩こり、頭痛などの不調がでやすいです。

前屈ができない人は骨盤が後ろにさがって背中が丸まっているので、普段も同じ体勢をしている可能性が高いです。椅子に座って思いきり猫背にすると腰と肩にかなりの負担を感じるでしょう。立っているときにも猫背だと腰への負担が大きいのです。

柔軟性をチェックしよう

柔軟性のセルフチェック方法です。できない動作があれば対応する筋肉を重点的にストレッチしましょう。

大殿筋チェック

  1. あぐらをかいて背筋はまっすぐに伸ばします
  2. 片方のすねの下に両手を入れて胸に近づけます

すねのラインが両肩もしくは床面と平行になるかチェックします。
大殿筋が硬い人は平行になりません。柔軟な人ほど高くあがります。

ハムストリングスチェック

  1. 床寝転がり、足はまっすぐ投げ出した状態で行います
  2. 片足は足の裏を床につけて、ひざを曲げます
  3. もう片方の足を両手で持って胸に引きつけます

股関節が90度になるところまで曲げられないひとはハムストリングスが硬いです。

腸腰筋チェック

  1. 足を前後に開いて、後ろ足のひざを床につけます
  2. 前の足のひざを曲げます
  3. 体はまっすぐ背筋を張ります

背筋を伸ばせず猫背になる人や、後ろの足が遠くまで伸びないひとは腸腰筋が硬いです。

股関節チェック

  1. 寝転がり、足はまっすぐ投げ出した状態で行います
  2. 片足を抱えて胸にちかづけます

抱えていない方のひざが浮いている人は股関節が硬いです。

ふくらはぎチェック

  1. 足の裏を床に全てつけた直立からスタートします
  2. かかとを浮かせないようにしゃがみこみます

どうしてもかかとが浮いてしまったり、後ろに転んでしまう人はふくらはぎが硬いでしょう。

前屈ができない人がストレッチすべき筋肉は?


前屈をするためには、いくつもの筋肉を使います。しかし前屈ができない人は、ハムストリングスを伸ばすことばかりを意識してしまうのではないでしょうか。

ハムストリングスは限界まで伸ばすことができているのに、まだ伸ばす余力のある筋肉が伸びていないために、前屈ができないケースもあります。

ここでは、ハムストリングスはもちろん他にもストレッチを行うとよい筋肉について解説します。

大殿筋のストレッチ

股関節を伸ばす動きに働きかけるお尻の筋肉です。

  1. 寝転がり、足はまっすぐ投げ出した状態で行います
  2. 片足のすねを両手で抱えて、胸に近づけていきます
  3. 限界まで近づけたら20秒キープ
  4. 手を離してから、ゆっくり足を戻します
  5. 左右交互で1回として、3セットおこないます

ハムストリングスのストレッチ

前屈をすると一番伸びているのがわかる部位が太ももの裏の筋肉、ハムストリングスです。

  1. 椅子に腰かけて浅く座ります
  2. 骨盤はまっすぐに立てて、前へも後ろへ傾けないようにします
  3. 片足を膝を曲げずにまっすぐ前へ投げ出します
  4. 姿勢を保ちながら、股関節を軸にして体を前に倒します
  5. 倒したら30秒キープ
  6. ゆっくり元の姿勢に戻ります
  7. 左右交互で1回として、3セット行います

背中が丸くなると骨盤が後ろに倒れてしまうので、背筋はまっすぐにしておきます。

腸腰筋のストレッチ

ももの付け根にあり、股関節をひねる動きに関与する筋肉です。ここではお尻歩き運動とも呼ばれる、自分の体重を骨盤に乗せて行うストレッチを紹介します。

  1. 足はまっすぐ投げ出して座る、長座の姿勢をとります
  2. 体をひねってお尻で前に進みます
  3. 10歩進んで、10歩戻ります
  4. 3回繰り返します

股関節のストレッチ

あぐらエクササイズです

  1. 両足の裏を合わせてあぐらの姿勢をとります
  2. 足の裏を手でおさえます
  3. ひざを限界までおろします
  4. おろしたまま20秒キープ
  5. ゆっくり元に戻す
  6. 3回繰り返します

前屈ができないレベル別のトレーニング方法

前屈ができない人は、ハムストリングスだけではなく他の筋肉が硬い可能性が高いです。ここでは前屈ができない度合別のトレーニングを紹介します。

まったく前屈ができない人

足首、ふくらはぎ、背中、お腹など全体をストレッチするとハムストリングスだけが頑張っているアンバランスな状態から抜け出せます。もし、今前屈ができる状態の人はステップ1つごとに前屈をしてみると、どんどん手が床に近づいていくのが分かります。

ステップ1:座ったままで足首をストレッチ

  1. 足を投げ出した状態で床に座ります
  2. もしくは椅子に座って膝から下を浮かせた状態で足首を前後に10回伸ばして縮める動作を繰り返します

ステップ2:腰をひねるだけ簡単体幹ストレッチ

  1. まっすぐ立って足を肩幅に広げます
  2. 両ひじを床と平行にして、肩の高さにあげます
  3. 体をひねりながら、目線を後ろに持っていきます
  4. 左右交互で1回として3セット行います

ステップ3:脇腹を伸ばすだけで背中もほぐす

  1. まっすぐ立って足を肩幅に広げます
  2. 片方の手を腰にあて、逆の手を真上にあげます
  3. そのまま脇腹を横に倒します
  4. 限界まで倒して20秒キープ
  5. 左右交互で1回として3セット行います

ステップ4:膝から下もストレッチ

  1. 立って、足を前後に開きます
  2. 背中はまっすぐ伸ばし、前の足のひざをまげます
  3. 後ろの足のアキレス腱をのばして20秒キープ
  4. そのままかかとをあげて、さらに20秒キープ
  5. 左右交互1回として3セット行います

ステップ5:あぐらストレッチでお尻を伸ばす

  1. 椅子に座って片足をあぐらをかくように膝頭にくるぶしをのせるます
  2. そのまま前屈して10秒キープします
  3. 3セット行います

ステップ6:楽々、腰を折るだけの軽い前屈

  1. 片足をまっすぐ前に出します
  2. ひざの上に両手を乗せたままお尻をひきながら前屈します
  3. 20秒キープします
  4. 左右交互を1回として3セット行います

あと少しのところで前屈ができない人

指先がもう少しで床に触れそうな人に向けたエクササイズです。

ステップ1:ヒラメ筋とアキレス腱を伸ばして筋肉に弾力性を

  1. 片方の足を大きく引きます
  2. 後ろ足に体重をかけてかかとはしっかり地面につけておきます
  3. かかとはつけたまま、前足に体重を移動させます
  4. かかとが浮かないように注意して10秒キープ
  5. 左右交互を1回として3セット行います

ステップ2:肩甲骨の動きは骨盤とも連動する

  1. 足を肩幅に開いて立ちます
  2. ひじから手首が床と水平になるように、両肩に手を乗せます
  3. 肩に手をのせたまま肩甲骨をグルグルとまわします
  4. 前まわしを5回、後ろまわしを5回行います

ステップ3:前ももを伸ばしてバランスを取る

  1. 直立したまま右のかかとを背中側曲げて、右手でつかみます
  2. 右側のももが前にでないように注意し手をなるべく左足と同じ角度でまっすぐになるようにします
  3. そのまま手でかかとを上に引っ張り上げて10秒キープ
  4. 左右交互を1回として3セット行います

ステップ4:脚を開いて楽に前屈の練習

  1. 足を肩幅より広く立ちます
  2. 片方の足首に両指先をできるだけ近づけて前屈し、20秒キープ
  3. 元の姿勢に戻って、指先は真ん中で前屈し、20秒キープ
  4. 元の姿勢に戻って、指先は逆の足に近づけて前屈し、20秒キープ
  5. 3箇所を交互に3セット行います

指先はつく!手のひらがつかなくて前屈ができない人

後は手のひらを床につけるだけの人向けエクササイズです。

ステップ1:太もも裏の筋肉を伸ばす

  1. ひざを軽く曲げた状態で前屈の姿勢になります
  2. 両手を軽く踏みます
  3. お尻を天井に突き上げるイメージで太もも裏を伸ばします
  4. 両手を踏んだまま、ゆっくりと元にもどします
  5. 20回繰り返します

ステップ2:スクワットで太ももとお尻の筋肉を鍛える

  1. 肩幅に足を開いて立ちます
  2. 骨盤を後ろに突き出すようにお尻を落とします
  3. ひざがつま先より前にでないようにします
  4. 元の姿勢にもどります
  5. 10回繰り返します

ステップ3:大きく伸ばして太もも裏と体幹をほぐす

  1. 床に大の字に寝転がります
  2. 肩を床につけたまま、片方の足を逆側に大きく倒して20秒キープ
  3. 左右交互を1回として3セットおこないます

ステップ4:膝の裏とお尻をもなしてクロスで前屈

  1. 足をクロスして立ちます
  2. かかとが浮かないようにできるかぎり前屈して、指先か手のひらを床につけて20秒キープ
  3. 左右交互を1回として3セットおこないます

まとめ


前屈ができないのは体全体が硬くて起こるのではなく、よく使える筋肉と、使うのが苦手な筋肉があるために起こります。筋肉のアンバランスさによって腰痛などの不調に繋がりやすくなってしまいます。

まずは柔軟性チェックでどこの筋肉が硬いかをチェックしてみましょう。使うのが苦手な筋肉を重点的にストレッチすると手の平が床につく前屈に一歩近づきます。

前屈ができないレベルに合わせたエクササイズを繰り返し行えば前屈ができるようになるでしょう。特別な器具は一切使用しなくても柔軟な体が手に入ります。